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花フォト葉 / ノビコ

花フォト葉

photo + poem

ノビコPROFILE

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タンポポ

【ハナコトバ】真心の愛、神のお告げ、愛の神託、思わせぶり、別離。

運命という言葉は、あまり信じないことにしている。
あまりにも他力本願に聞こえてしまうからだ。

それでも、運命の出会いと思えるような人に出会ってしまうことはある。
まるで生まれる前のずっと昔から、
あらかじめ決まっていたような劇的な出会い。

タンポポは、運命という言葉のイメージとは対極のような花だ。
時にはアスファルトさえ押しのけて、力強く咲く意志の花。
ライオンの歯(dent-de-lion)と名付けられたのも、
葉っぱの形からだけではないのかもしれない。

『神のお告げ』みたいな運命のような出会いはあるかもしれないけれど、
それを本物の関係に築いていけるのは、
『真心の愛』あってこそじゃないだろうか。

どんな環境でも、時には見る人をあっと驚かせる程に力強く咲く花。
そういう意志を持った人にだけ、運命を信じる権利はあるんだと思う。

それがなければ、待っているのは『別離』だけ。
綿毛をふっと、吹いて飛ばしておしまい、みたいな。

シクラメン

【ハナコトバ】内気、はにかみ、遠慮がち、疑いを持つ、(赤)嫉妬、(白)清純

夏が人を大胆にするのだとしたら、冬は人を「遠慮がち」に、つつましくさせる季節だとはいえないだろうか。マフラーに顔をうずめて、両手を手袋に包み込んで、じっと寒さに耐える姿。

冬に咲くシクラメンの花は、そんな冬のイメージとは少し違うように見える。あくまでも控えめで「はにかむ」ようにうつむいてはいても、鮮やかで花弁の大きな花は、隠しきれない魅力がどうしても漏れ出してしまうようだ。

シクラメンには、花言葉のもとにもなったこんな伝説がある。王冠を飾る草花を探していたソロモン王が、様々な花に交渉するが断られてしまった末、唯一シクラメンだけが承諾してくれた。ソロモン王が感謝をしめすと、恥ずかしさと嬉しさのあまり、それまで上を向いていた花がうつむくように下を向いてしまった。

「内気」や「はにかみ」、「遠慮」は美徳とされているけれど、本当は少し違うのかもしれない。隠そうとしても隠しきれない魅力。自覚していなくても、こぼれてしまう魅力。そこに人は、惹かれてしまうことがあるのだろう。

シクラメンの物語は、そんなことを考えさせてくれる。

あじさい

【ハナコトバ】移り気、高慢、辛抱強い愛情、元気な女性、あなたは美しいが冷淡だ。
無情、浮気、自慢家、変節、あなたは冷たい。

あじさいの花は見つけやすい。重なりあって、群れて咲くその花の名前を知らない人はきっと少ないだろう。

それから、あじさいの花のように見える部分が、実は花ではないことを知っている人も多いだろう。4つの、花びらのように見える部分は「がく」と呼ばれる部分だ。

そしてもう一つ、あじさいの花の色が土の酸性度によって変わるということを知っている人も、中にはいるだろう。咲き始めから咲き終わりにかけて次々と色を変えていく、ということを知っている人もいるだろう。

その色を変える姿から、『移り気』な花といわれるあじさい。『辛抱強い愛情』『元気な女性』『あなたは美しいが冷淡だ』。あじさいの花言葉はたくさんあるけれど、どれも僕たちが良く知っているものばかりだ。

当たり前のようにいつからかそこにあって、当たり前のように名前を知っていて、一つ一つは小さく咲いているけれど、一歩離れて見てみると、とても美しい。

誰かにとっては特別な感情やできごとも、きっと長い歴史の中では当たり前の感情や、当たり前の出来事なのだろう。

そう思うと、小さな一つ一つの出来事も、なんだか愛おしく思えてくる。

ハナミズキ

【ハナコトバ】私の思いを受けて下さい、公平にする、返礼、華やかな恋。

両親が記念日に何かを送りあっている姿を、一度も見たことが無かった。あまり人のせいにするのはどうかとも思うけれど、サプライズや用意周到なプロポーズなんかは大の苦手だ。

はたから見て、『華やかな恋』ではなかったと思う。それでも二人は悩んだり、ときには衝突したり離れようとしたりしながら、一緒に歩いてくることができた。

ハナミズキは、切り花を送るような花ではない。最近では街路樹として、ちょっと気をつけていれば街中でも普通に見かけるような花だ。そういえば花を送ることも、これまで一度もなかったように思う。

でも、あなたならきっと、きれいに飾られた切り花の贈り物よりも、庭先に毎年さりげなく咲くハナミズキを、きれいだと思ってくれると感じるのは、こちらの勝手な想像でしょうか……。

いつもはっきりせずに、頼りないところばかりを見せてきたような気がするけれど、今だからこそ、はっきり言えることがあります。

これからも、よろしく。どうか一生、共に歩んでいってください。

こんな私の思い、あなたは受けてくれますか?

手紙を送るように、花束を贈れたらいい。
花束を贈るように、思いを伝えられたらいい。

花言葉というものがある。
草花にあてはめられた合い言葉、もしくは単に言葉や文の事。
直接言葉を交わさずとも互いの意志疎通や感情を
伝える事の出来る手段として生まれたもの。

あなたが誰かに思いや気持ちを伝えるとき。伝えたいとき。
ツールになりたいと思った。
背中を押したり、勇気になったり、そばにいたり
決断したり、キッカケになれればと思った。

難しく考えなくてもいい。
せっかく湧き出た気持ちや思いは、
ちゃんと伝えた方がいいと私は思う。

ここで紹介する花は、特別な花ではない。
道の脇にはえていたり、家の庭にはえていたりする
身近な草花達です。

いつだって、どんなときだって、どんなカタチだって、
特別な事じゃなくたって。
伝えてみたらいいと思うのです。

今回、展示《Dear.》の時に、
素敵な文章を書いてくださった本多篤史さんと
再びタッグを組んで、作品をお届けしたいと思います。

伝えてほしい、その気持ち。




写真 / ナマケモノクラゲフォトカリー ノビコ
文章 / 本多篤史
デザイン / ミツイタカヒロ
タイトル / 川端康史

印刷して読むことができます。

PROFILEノビコ

東京都出身。
地元、恵比寿をこよなく愛している。
好きな食べ物はカレー。
10歳の頃に父親からコンパクトカメラを貰う。 時間や空間を切り取り、その時の気持ちも閉じ込められる写真の魅力に引き込まれる。

ノビコさんの作品